腰痛再発を予防するための生活習慣

介護の現場は、身体を動かす仕事が多く、腰痛に悩まされる方も多いのではないでしょうか。せっかく腰痛が治っても、またすぐに痛みがぶり返してしまっては困りますよね。
そこで、腰痛を再発させないための日常生活での注意点や習慣を解説していきます

腰痛の再発予防の第一歩は、正しい姿勢を意識することです。立っているときは、お腹に軽く力を入れて背筋を伸ばし、顎を引いてまっすぐ前を見ましょう。猫背気味だと腰に負担がかかりやすくなります。
座るときは、浅く腰掛けず、深く椅子に腰掛けて背もたれに寄りかかりましょう。例えば、介助で中腰の姿勢が多い場合は、意識的に腰を伸ばす時間をとったり、壁に背中を付けて休憩するなど、こまめな姿勢調整を心がけてください。
また、重い物を持ち上げるときは、膝を曲げて腰を落とす「スクワット」の姿勢を意識し、腰ではなく足の力で持ち上げるようにしましょう。背中を丸めて持ち上げると、腰に大きな負担がかかり、再発のリスクを高めます。

日常生活でも、腰への負担を軽減する工夫をしてみましょう。床に落ちた物を拾うときも、膝を曲げて腰を落とすようにしましょう。
また、靴下を履くときも、椅子に座って行うか、壁に手をつくなどしてバランスをとり、腰への負担を減らすように意識してみてください。就寝時は、仰向けで寝る場合は膝の下にクッションを挟む、横向きで寝る場合は抱き枕を抱えるなど、腰が反りすぎない姿勢を保ちましょう。マットレスは硬すぎず柔らかすぎないものを選び、腰をしっかり支えることが大切です。
毎日の入浴も効果的です。湯船に浸かることで、身体を温めて血行を促進し、筋肉の緊張を和らげることができます。ぬるめのお湯にゆっくり浸かり、リラックスする時間をつくりましょう。これらの習慣を続けることで、腰痛の再発を予防し、健康な毎日につながるでしょう。

ボディメカニクスで腰痛予防

介護職に従事している人が抱えている身体トラブルの中で最も多い疾病は腰痛です。利用者の体位変換、移乗、移動介助をはじめ、介護職における業務の多く場面で腰に負担がかかることから、腰痛を引き起こしやすくなっていると考えられます。

腰痛が悪化してしまうと介護業務に支障をきたすだけではなく、介護職員自身の生活にも影響が出てしまうことから、腰痛に関するさまざまな知識を使って未然に防いでいくことが必要です。行政においても腰痛を介護の現場における重要課題としてさまざまな施策に取り組んでいて、各事業所では積極的に腰痛予防対策が推進されています。

腰痛予防の最も基本となるのは、スクワットなどの筋トレを行ったり、ストレッチで筋肉をほぐしたりすることで、腰痛が起きにくい体作りをすることです。その上で、力学の原理を人体に応用するボディメカニクスを介護業務に活用することで、一つ一つの動作に伴う負担を大きく軽減することができ、腰痛予防につながります。

ボディメカニクスでは骨や関節等の特性を力学的に捉えて実現しますが、重さを支える支持基底面を広くとるように心掛けることがポイントです。重い物を持つ場面では足を大きく広げて腰を落とすことで支持基底面の面積が広がり、安定した介護動作を実践することができます。さらに、手先や腕先などの小さな筋肉に頼らずに、大胸筋、大腿四頭筋、広背筋といった大きな筋肉を使うことを心掛けると、より少ない力で安楽に移動などが可能となり、腰への負担も少なくなります。
また、コルセットやスライディングボードといった道具の活用によって、介護職員の腰を守る環境づくりをしている事業所も増えています。