道具を使って負担軽減

介護職の腰痛予防として、定着率が高いのは腰痛ベルトの使用です。腰痛ベルトは施設職員に配布される場合もあります。勤務中は常につけていることが必要ですが、煩わしさから移乗介助時しか付けなかったり、入浴介助時は暑くてしたくないといった介護者側の問題があります。
腰痛ベルトの他には、最近は移乗介助や離床介助でノーリフティングケアと呼ばれる抱えないケアが行われているところもあります。ノーリフティングケアとは、リフトやスライディングボードを活用することで腰に掛かる負担を減らすケアのことです。
ただノーリフティングケアはまだ日本では浸透しきれていないという課題を抱えています。ノーリフティングケアの現状に興味がある方は詳細をご確認ください。

腰痛予防のためには正しいボディーメカニクスの理解も必要です。道具を使えば介護が楽になるわけではありません。どこを支えると利用者の体幹が安定するか、自分の体の使い方はどうかといった基本的なことを知らないと道具の効果を引き出すことができません。
利用者の状態は十人十色な上、同じ利用者でもその日の体調や環境によって必要な介護が変わります。ケースバイケースの状況に対応できるように、介護の基礎をおろそかにしないことが必要です。

また、介護職員の基礎筋力の向上も心がけるポイントです。介護の仕事には移乗や離床介助だけでなく、介護のために中腰姿勢になることが多くあります。基本的な筋力があると、腰痛へのリスクも軽減し、腰痛を予防する動き方も身に着きます。介護職員全体の健康促進と、腰痛を予防するために自身の体を気遣う意識づけが必要です。